札幌人図鑑 › 研究者
2024年11月18日
第1984回 北海道大学大学院農学研究員 小林国之さん
牛は人間が食べられない「草」を食べて生きている。バターが不足しても、牛乳が余るのはなぜだろう。酪農家たちの考える「牛に優しい飼い方」とは。取材を終えて見えてきた酪農の厳しさや面白さを、高校生にもわかりやすく書いた。将来を考える一助になればと語ります。今日のゲストは「牛乳から世界がかわる: 酪農家になりたい君へ (かんがえるタネ)」の著者、北海道大学大学院農学研究員の小林国之さんです。牛の専門家、農業経済学者として全国の酪農家を15年前からヒヤリングしてきた。そんな中、道北で酪農を営む石田さんと出会い、その志に感銘を受けた。「生産する」と「消費する」のバランスや意思疎通の仕組みづくりを考える事が大切だと思う。豊かに暮らしたいのはみんな一緒なんだからと力を込めます。
牛乳から世界がかわる: 酪農家になりたい君へ (かんがえるタネ)
牛乳から世界がかわる: 酪農家になりたい君へ (かんがえるタネ)
2024年03月25日
第1950回 北大発スタートアップ企業 合同会社エゾリンク 代表 安東義乃さん
専門は環境科学や生態学。いまは5人の仲間で知識や研究成果を持ち寄り、環境学習コンテンツなどを作っている。お金も時間も費やしてせっかく博士号を取ったのに、研究を続けられないのは残念。もっと長期の計画で研究を続けながらネイチャーポジティブな考え方を広め、大学と社会を繋ぎたいと力を込めます。今日のゲストは北大発スタートアップ企業合同会社エゾリンク代表の安東義乃さんです。父の影響で子供の頃から昆虫に親しみ、大学でも昆虫を研究。しかし途中から昆虫だけではなく、動物の行動やコミュニケーションに興味が湧き京大の大学院へ。するとそこで出会った後輩のゼミ生と大恋愛をし学生結婚。どちらかが就職したらついて行く約束をしたところ、夫が先に北大への就職が決まり北海道へついてきたと振り返ります。
北大発スタートアップ企業合同会社エゾリンク
北大発スタートアップ企業合同会社エゾリンク
2023年10月09日
第1926回 株式会社岩谷技研 代表取締役 岩谷圭介さん
気球による宇宙旅行を実現させるべく研究開発を行っている。世界のどの手法よりも速く、かつ将来に渡って安定した運航が可能な宇宙旅行は、気球だからこそ担うことができる。気球における国内のパイオニアとして、新しい未来を作っていくと力を込めます。今日のゲストは株式会社岩谷技研代表取締役、科学者で発明家の岩谷圭介さんです。子供の頃、両親から貰った一冊の絵本から宇宙への興味を深めた。いつか宇宙の事業を行いたいと考え、北大へ進学し宇宙工学を専攻。宇宙事業の実現可能性は気球にこそある事を見出した。そこからは気球による宇宙実験や宇宙映像制作で事業化、会社を設立し、大型気球開発に舵を切ったと振り返ります。
株式会社岩谷技研
株式会社岩谷技研
2022年11月21日
第1881回 札幌市立大学 デザイン学部教授 西川忠さん
専門は歴史のある建築物の診断や保存。その専門性を活かして昨年、還暦で新米教師となった。故郷の浦臼には石造りの古い建物がいくつもある。そんな建築物を町おこしに活用し、生まれ故郷を元気にしたい。そんな想いを幼なじみの町長に提案、学生と一緒に取り組みを始めたと語ります。今日のゲストは札幌市立大学デザイン学部教授の西川忠さんです。道立寒地研究所を経て民間企業へ。上司から「まずはドクターを」と言われ、会社勤めをしながら北大へ通い論文を書いた。その後、重要文化財の調査や保存に関する相談や仕事が増えてきた。群馬県の富岡製糸所、広島県の原爆ドームなど、どうやってボロボロのままボロボロにしないかを考えるのだが、木造と違ってルールが無いぶん面白かったと振り返ります。
札幌市立大学デザイン学部
札幌市立大学デザイン学部
2021年12月27日
第1834回 北海道大学総合博物館 副館長 大原昌宏さん
2016年にリニューアルし、翌年の来館者は22万人を超えた。北大の歴史や北大全12学部を紹介する展示、約300万点の標本や資料の一部を公開する展示などの常設展ほか、期間限定の企画展にも力を入れている。その土地が文化的かどうかは博物館を見ればわかる。自然の勉強ができるので、ここに来て関心を持つ人が増えれば環境保全にも繋がると力を込めます。今日のゲストは北海道大学総合博物館副館長の大原昌宏さんです。子供の頃から虫が大好き。高校時代は生物部で「糞虫」の研究に明け暮れた。そこで大学でも「糞虫を研究したい」と教授に申し出ると、すでに研究者が多い事を理由に、糞虫に似た「エンマムシ」の研究を薦められた。調べてみると、とても生態がユニークだったと振り返ります。
北海道大学総合博物館
北海道大学総合博物館
2021年05月10日
第1801回 生態学シンガー アメリー・バンデストックさん
専門は野生のハナバチ。ミツバチは大家族と思われがちだが、野生のミツバチのほとんどは土や木の穴で一人暮らしをしている。そのため研究は難しいが、どうすれば都会でも住みやすい環境を作れるかが研究テーマ。北大近くの街路樹で、初めてマルハナバチを見つけた時の感激は忘れない。ハチにとってハッピーな街に感じたと振り返ります。今日のゲストは北海道大学大学院環境科学院博士課程、生態学シンガーのアメリー・バンデストックさんです。オーストラリアシドニー出身。生物が暮らしやすい世界を作ろう!というテーマで「いただきます」というタイトルのCDを制作。「ぶんぶんぶん」という曲では、4年分の研究を4分で歌っている。いつか自然と虫が好きになるような子供向きの番組を作るのが夢と力を込めます。
Amelie Ecology Facebook
Amelie Ecology Facebook
2021年02月23日
第1784回 元 北海道畜産学会 会長 高橋潤一さん
世界各国から多くの研究者が集まる国際会議GGAAを主宰。テーマは牛や羊などの反芻家畜によるメタンガス。例えばニュージーランドの温室効果ガスは二酸化炭素より牛のゲップによるメタンの方が多い。だから国を挙げて取り組んでいると語ります。今日のゲストは元北海道畜産学会会長の高橋潤一さんです。家畜の食べる牧草地に窒素肥料を撒くと牧草は肥沃になる。ところが悪天候などで牧草に肥料が溜まると牛が中毒を起こすため、肥料の硝酸塩の研究をしていた。ある時、中毒を起こした牛はメタンガスを発生しないことを発見。論文に書き発表するも国内では相手にされず。そこで1983年世界畜産学会で発表すると、アメリカの有名な研究者が「自分も同じ現象を見た。これは重要な研究になる」と評価してくれたと振り返ります。
北海道畜産学会
北海道畜産学会
2020年11月30日
第1761回 北大総合博物館准教授 山本順司さん
全国に300ある大学博物館の中で、2番目の来場者を誇る(ちなみに1位は上野の東京芸大)。観光客も意識はしてるが、実はメインターゲットは高校生を想定。12学部すべての展示があるので、進路を決める際に是非参考にして欲しいと語ります。今日のゲストは北大総合博物館准教授の山本順司さんです。子供のころから宇宙飛行士になりたかった。大人になると地学の研究をしながらチャンスをうかがっていた。しかし東日本大震災など人生観を変えてしまうような事が沢山起こり、地学を研究しているのに何もできなかった自分は犯罪を犯したような気持ちになった。もう地球と宇宙の研究はやめよう。そう思って全国の博物館を探しまくり、内定をもらったのが北大だった。最近は隕石の成分を見ながら、地球だって宇宙だと実感。それなら宇宙へ行かなくても、もう宇宙へ行ってるのと同じだと考えるように。でもこれからも条件が合えば、宇宙飛行士のテストは受けるけどねと笑います。
北大総合博物館
北大総合博物館
2020年11月16日
第1757回 札幌国際大学 准教授 藤崎達也さん
落ちても寒くなくプカプカ浮かべるドライスーツを着て、流氷の上を歩く人気アトラクション「流氷ウォーク」。今では定番だが始めた頃は、通報を受けた警察が飛んで来るほど驚かれた。地元では子供の頃から「危ないから乗ってはいけない」と言われて育つと聞くけれど、観光客が流氷を見たら、絶対に乗ってみたくなるはずと笑います。今日のゲストは札幌国際大学准教授の藤崎達也さんです。東京でサラリーマンをしていた頃、関西出身の部下を連れて東藻琴村へ出張中、阪神淡路大震災が起こり慌てて東京へ帰った。すると身内をたくさん亡くしたはずの上司が忙しく仕事をしていた。こんな時にも仕事かよと悶々としていた数か月後、今度はサリン事件が起こる。人間、いつ何が起こるかわからない。それなら住みたい所に住もうと満員電車に揺られながら思い立ち、何も決めずに会社を辞め、学生時代から憧れだった知床へ移り住んだと振り返ります。
札幌国際大学
札幌国際大学
2020年10月13日
第1748回 北海道大学大学院 工学研究院 准教授 岸邦宏さん
将来の交通がどうなるのか予測し、今後の交通をどう作っていくかを考える交通計画が専門。その地域に適した持続可能な交通を考えるとき、自分は工学部出身なので、感情論ではなく数字で見る。鉄道ネットワークワーキングチームでは座長を務め、北海道の鉄道の在り方を議論してきた。10年後、60歳になるとき、札幌に新幹線が開通する。自分の研究テーマでもあり北海道交通の完成形だと思うので、その一番列車に乗るのが夢と語ります。今日のゲストは北海道大学大学院 工学研究院 准教授の岸邦宏さんです。小学校6年の時、青函トンネルが貫通。担任の先生が授業を中断して、その瞬間をテレビで見せてくれた。思えばあの時から、この仕事に興味があったと振り返ります。
北海道大学大学院 工学研究院
北海道大学大学院 工学研究院