札幌人図鑑 › 研究者
2020年11月16日
第1757回 札幌国際大学 准教授 藤崎達也さん
落ちても寒くなくプカプカ浮かべるドライスーツを着て、流氷の上を歩く人気アトラクション「流氷ウォーク」。今では定番だが始めた頃は、通報を受けた警察が飛んで来るほど驚かれた。地元では子供の頃から「危ないから乗ってはいけない」と言われて育つと聞くけれど、観光客が流氷を見たら、絶対に乗ってみたくなるはずと笑います。今日のゲストは札幌国際大学准教授の藤崎達也さんです。東京でサラリーマンをしていた頃、関西出身の部下を連れて東藻琴村へ出張中、阪神淡路大震災が起こり慌てて東京へ帰った。すると身内をたくさん亡くしたはずの上司が忙しく仕事をしていた。こんな時にも仕事かよと悶々としていた数か月後、今度はサリン事件が起こる。人間、いつ何が起こるかわからない。それなら住みたい所に住もうと満員電車に揺られながら思い立ち、何も決めずに会社を辞め、学生時代から憧れだった知床へ移り住んだと振り返ります。
札幌国際大学
札幌国際大学
2020年10月13日
第1748回 北海道大学大学院 工学研究院 准教授 岸邦宏さん
将来の交通がどうなるのか予測し、今後の交通をどう作っていくかを考える交通計画が専門。その地域に適した持続可能な交通を考えるとき、自分は工学部出身なので、感情論ではなく数字で見る。鉄道ネットワークワーキングチームでは座長を務め、北海道の鉄道の在り方を議論してきた。10年後、60歳になるとき、札幌に新幹線が開通する。自分の研究テーマでもあり北海道交通の完成形だと思うので、その一番列車に乗るのが夢と語ります。今日のゲストは北海道大学大学院 工学研究院 准教授の岸邦宏さんです。小学校6年の時、青函トンネルが貫通。担任の先生が授業を中断して、その瞬間をテレビで見せてくれた。思えばあの時から、この仕事に興味があったと振り返ります。
北海道大学大学院 工学研究院
北海道大学大学院 工学研究院
2020年04月07日
第1704回 粘菌の研究でイグノーベル賞 中垣俊之さん
シャーレの中に床となる寒天を敷き、そこへフィルムで迷路を作る。モジホコリという黄色い粘菌を乗せ寒天いっぱいに広がったところで、離れた二箇所に餌となるオートミールを置くと餌と餌を繋ぐように集まり始める。単細胞の粘菌が迷路の短い距離を見つけ出すことができることを発見した。今日のゲストは粘菌の研究でイグノーベル賞を2度受賞された、北海道大学教授の中垣俊之さんです。子供時代は田舎育ちで、毎日里山を徘徊して遊んでいた。図鑑でしか見たことがなかった植物や昆虫を見つけて瞬時にわかったり、逆にいつも見ているものを図鑑で見つけて驚いたり。面白いことは、誰もが目にする事のできる場所で展開される。自分に見る目さえあれば、面白い事がやっていける所に痺れていたと振り返る。実は爆笑問題のテレビ番組で「爆ノーベル賞」も受賞したと笑います。
*イグノーベル賞 : 1991年に創設された「人々を笑わせ、そして考えさせてくれる業績」に対して与えられるノーベル賞のパロディー。
北海道大学 電子科学研究所
*イグノーベル賞 : 1991年に創設された「人々を笑わせ、そして考えさせてくれる業績」に対して与えられるノーベル賞のパロディー。
北海道大学 電子科学研究所
2020年03月23日
第1699回 札幌大学 教授 荒木奈美さん
授業の最後には必ずJ-POPをかける。本当はどんな生き方をしたかったのか、音楽や映画やドラマを通して引き出していく。アクティブプログラムの、アクティブって何だろう。たとえば学生たちが、自分には何ができるのか活発に議論している。こんな「自分ごととして考えられる喜び」こそがアクティブなんじゃ無いかと思う。今日のゲストは札幌大学教授の荒木奈美さんです。進路指導をしたくて高校の国語教師になったが、縁あって東京から札幌大学へ。自分の研究テーマは「大学生の生き直し」。臨床教育の授業では、毎年250人の人の話を聴いている。いつか大学生の為のフリースクールのような「教えない学校」を作りたいと語ります。
荒木奈美さんFacebook
荒木奈美さんFacebook
2019年07月31日
第1627回 札幌圏大学国際交流フォーラム 幹事長 蟹江俊仁さん
交換留学を希望する多くの北大生を面接している。推薦のためには、どんな問題意識を持っているかを審査する他に、満たさなくてはいけない条件があるケースも。例えば北極圏に近い島で研究をする場合、服を着たまま海中に落ちたり、シロクマを撃つ鉄砲の練習などサバイバルトレーニングが必須。最近問題に感じているのは、こういうハードな留学に志願するのは圧倒的に女性が多い事。日本の社会は少し男子を小さくしていると感じる。これから考えなくてはいけないのは日本社会の閉塞感。もっと若者の夢を後押しできるような社会にと語ります。今日のゲストは北海道大学工学研究院教授で札幌圏大学国際交流フォーラム幹事長の蟹江俊仁さんです。
札幌圏大学国際交流フォーラム
札幌圏大学国際交流フォーラム
2019年06月03日
第1601回 北海道大学先進ITプロトタイプラボ 特任教授 山本強さん
遊びにリミッターを作らず、論より形、アイディアより実装、依頼より提案を心がけて仕事をしてきた。情報科学を専門として45年。この春、北海道大学鈴木章ホールで最後の講義を行った。会場は満席だった。今日のゲストは北海道大学 先進ITプロトタイプラボ特任教授の山本強さんです。計算幾何学者・アランケイが言った「未来を作るのは、予想するより簡単なもの」という言葉が好き。他人が何をやっているか気にすることはない。未来を予想する一番の方法はそれを作ること。今は北海道大学産学・地域協働推進機構で新しい仕事をスタートしたと語ります。
北海道大学 先進ITプロトタイプラボ
北海道大学 先進ITプロトタイプラボ
2019年04月03日
第1576回 旅と音楽の研究所 所長 山崎翔さん
ローカルフェスと地域社会の狭間に生まれつつある新たな生き方を探求するため、日々旅を続けている。3月に北海道大学で実施された「SAIHATE LINES」は、自身の集大成だと語ります。今日のゲストは旅と音楽の研究所所長の山崎翔さんです。幼少期を多摩ニュータウンで過ごし、高校卒業まで熊本で暮らした。その後、早稲田大学に進学。ニュータウンで身についた地元意識やコミュニティを「客観視」する自身の問題意識を探求するため、北海道大学大学院観光創造専攻で人の移動や旅を軸にした社会のあり方を研究。修士課程修了後、コンサル・シンクタンクで行政のまちづくりに携わるが、より自生的なまちづくり(ロックフェス主催者)への関心が強まり、博士課程に進学。2016年には全国のフェス主催者同士が対話する「フェス観測会」を主催したと振り返ります。
山崎翔さん Twitter
山崎翔さん Twitter
2019年03月13日
第1567回 北海道博物館研究職員 圓谷昂史さん
博物館では「地学」を担当。1500万年前の海の状況、野幌の100万年くらい前の海の環境、そして現在の北海道の海の環境。環境を調べるには特殊な技術が必要と思われがちだけれど、身近な自然体験をしながら楽しく学ぶことができるのが魅力。新しいこと、誰も見たことのない世界を、自分の手足を使ってわかるのが喜びだと笑います。今日のゲストは北海道博物館研究職員の圓谷昂史さんです。小さい頃の趣味は四つ葉のクローバーさがし。近所の公園で下ばかり向いてさがし、見つけたら押し花にして集めていた。大学生の時、漂着物を使った環境教育を研究する中でアオイガイを発見。タコが作る美しい貝に心惹かれ、研究テーマが「貝」になったと振り返ります。
北海道博物館
北海道博物館
2019年03月04日
第1562回 北海道環境生活部 縄文世界遺産推進室 阿部千春さん
中が空洞で薄い作り。デザイン的にも技術的にも土偶の到達点と言われる中空土偶には、縄文時代の精神性が色濃く現れている。縄文からアイヌ文化、そして現代につながる遺跡の豊富な北海道は、それだけ自然が豊かということ。これを伝えるのは博物館の仕事だけれど、縄文文化は欧米のインバウンドを引き込むのにも有効。観光は教育の現場だと語ります。今日のゲストは北海道環境生活部 縄文世界遺産推進室の阿部千春さんです。赤平出身。小1の時、沢を登っていたらしじみの化石を発見。どうして山に貝があるのだろうと不思議に思った。その後も化石を集め続け、大学では考古学を専攻。埋蔵文化財センターに就職し、千歳の美々4遺跡を発掘したと振り返ります。
北海道環境生活部 縄文世界遺産推進室
北海道環境生活部 縄文世界遺産推進室
2019年02月26日
第1560回 北海道陶芸会会員 原田昭さん
札幌軟石の石切場で石を切り出した時に出る細かな砂を釉薬にすると、窯から出た焼き物は美しいグリーンになる。ここでしか出せない色と出会い、大きな花びらのような作品を制作。北海道陶芸展で72歳の時に最優秀新人賞を受賞したと振り返ります。今日のゲストは北海道陶芸会会員の原田昭さんです。工業デザイナーとして筑波大学で28年教鞭をとった。定年後、新設された札幌市立大学へ。実は教員のつもりで来たのだが、縁あって学長に就任した。ずっと「NEWを作り出すにはどうするといいか」を考えてきた。看護とデザインという、札幌市立大学ならではの新しい分野は魅力的。世界中で通用すると語ります。
北海道陶芸会
北海道陶芸会